眼鏡堂書店

山形県東根市を中心に、一冊の本をみんなで読む課題図書形式の読書会を開催しています。 また、眼鏡堂店主による”もっと読まれてもよい本”をブログにて紹介しています。

【開催のお知らせ】世界の中心で愛をさけぶ/片山恭一

年末に身内の不幸があり、未だに年の明けた気のしない眼鏡堂書店です。

あけましておめでとうございます。

 

新年最初の読書会のお知らせです。

今回の課題図書は、片山恭一の『世界の中心で愛をさけぶ』です。

あらすじは、

主人公は朔太郎という名の、地方都市に住む高校2年生。物語は、アキという名の同級生の恋人の死から始まる。そして生前の彼女との思い出を回想するように、ふたりの出会い、放課後のデート、恋人の墓から遺骨の一部を盗んだ祖父の哀しくユニークな話、ふたりだけの無人島への旅、そして彼女の発病・入院、病院からの脱出、そして空港での彼女の死までのストーリーが語られ、その中で朔太郎は自分の「生」の充足が、彼女との出会いから始まっていたことに気づく。アキの死から十数年が経過した今も粉状になった彼女の遺骨の一部を小さな硝子瓶に持ち続けていた朔太郎は、新たな恋人とともにアキとの思い出が詰まった郷里を訪ねる。そして「アキの死」が残したものの大きさを感じながら、ふたりがかつて一緒にいた郷里の学校のグラウンドで静かに骨を撒いた――。(Amazonより引用)

 

本が売れない、読まれない、と言われて久しい昨今。

そんな中にあって、歴代最高の321万部の売り上げをたたき出したのが本作『世界の中心で愛をさけぶ』。

眼鏡堂書店の読書会の一つの柱に、”かつて読まれていたが今では顧みられることのなくなった作品を改めて読んでみよう”というのがあるのですが、その柱にうってつけな作品だと思い、今回の課題図書にしたところです。

セカチュー”の愛称で原作小説はもちろん、映画にドラマにと、セカチュー旋風を巻き起こしたにも関わらず、今では話にのぼることもなく、作者の他作品はまるでなかったかのよう……。

なので、改めて本作を読んでみることで、何がたくさんの人たちの共感を呼んだのか?や、果たして今でも売れるような普遍性があるのだろうか?などについて、ゆるーく考えてみたいと思います。景気の悪い昨今、321万部も売り上げた景気の良い作品のご利益にあやかりたいとも思いました。

 

それでは、読書会の日時や場所等についてです。

 

【日 時】 

1月21日(日)14:00~16:00

※1月18日(木)の17:00を締め切りとします。

 

【場 所】 

山形県山形市七日町2丁目1−8イイナス 1F

タリーズコーヒー 山形七日町店

※いつも少人数なので、飛び込みで入店しようと考えています。

 

【参加費】
1品以上の注文をお願いします。


【定 員】
4人(※主催者含めた2名を最少開催人数とし、満たなかった場合は中止とさせていただきます)


【お申し込み方法】

以下のどれかで申し込みください。

1)コメントで参加のメッセージを。

2)openworksnovel@gmail.comに参加のメールを。

3)TwitterのDMやメッセージで。


皆様のご参加をお待ちしております。
拡散希望です。バンバン広めてください。

【開催しました】眼鏡堂書店の読書会『ゴドーを待ちながら』サミュエル・ベケット

11月19日(日)に、山形市七日町のTully'scafeにて、サミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』を課題図書とした読書会を開催しました。

主催者の眼鏡堂書店含め、3名の参加がありました。

 

で。

 

当初、会場は旧県庁・文翔館前のPlayground Cafe BOXを予定していて、なおかつそこが満席等だった場合に備え、第二第三候補を設定して当日に臨んだわけですが……。

Playground Cafe BOXが読書会の開催時間に使えないことが判明。

そのうえ、第二第三候補も軒並みダメというスペクタクル溢れる急展開。

慌てて会場を七日町のTully'scafeに変更して事なきを得たのでした。

 

快く会場変更にご対応いただきました、参加者の皆様、大変ありがとうございます。

快く会場変更にご対応いただきました、参加者の皆様、大変ありがとうございます。

(大事なことなので2回言いました。)

 

読書会の参加者は、

 

眼鏡堂書店

しぶやん さん

ナズハ さん 

 

の三人。ナズハさんは読書会自体が初めてとのこと。

というわけで、自己紹介と最近あった嬉しかったことや楽しかったことを簡単に話して肩の力が抜けたところで、読書会スタートです。



今回の課題図書は、サミュエル・ベケットの戯曲『ゴドーを待ちながら』。

小説以外のジャンルを取り上げるのは初めてで、しかも眼鏡堂書店を含めた全員が初読という初めてずくし。眼鏡堂書店&ナズハさんがこれまでの安堂・高橋訳、しぶやんさんが岡室さんの新訳というラインナップ。これによって旧訳と新訳とを比較できたのは大変興味深かったです。

 

ゴドーを待ちながら』といえば、現代演劇の古典であると同時に不条理演劇の金字塔。映画『ドライブ・マイ・カー』の劇中劇や、中心人物が登場しないという構成において『桐島、部活やめるってよ』がその影響下にあるなど、大変に有名な作品です。

その一方で、不条理演劇、という冠が独り歩きしている感もあり、それが余計にこの作品をマイナスの意味で神格化させているようにも思われます。

 

そんなわけで、参加者それぞれの初読の感想がコチラ。

 

眼鏡堂書店 全く頭に入ってこなかった。様々調べたりして概要をつかんでから再読すると、妙にコントっぽく感じた。

しぶやん さん 面白かった&楽しかった

ナズハ さん 最初は難しく感じてどう読めばよいかわからなかった。読んでいるうちに動きが分かってきて、面白くもあり物悲しくもあった。

 

明確なストーリーラインがなくただただ待ち続ける内容に戸惑った、というのも全員の共通した感想。そのうえ、待ち続けた末に結局ゴドーはやってこない、という結末。

そのため、ゴドーがいったい何者なのかもわからず、同時にそのほかの登場人物もバックグラウンドがほとんど語られないため、劇中の関係性はただただ読み手にゆだねられます。だからこそ、様々な解釈が成り立ち、それが時代を超えた普遍性を生じさせるのだと思いました。

 

読書会で初めて取り上げる戯曲ということもあり、「演じるならどの役?」という質問をしてみました。

回答がコチラ。

 

眼鏡堂書店 ポッツォかラッキー

しぶやん さん エストラゴン

ナズハ さん 男の子

 

開催のお知らせで頂いたコメントには、「どの役も全力で拒否」という旨の回答をしたのですが、数日たつとポッツォとラッキーのやりたい放題&全力でのボケたおしの突き抜けっぷりが興味を引いた次第。逆に、ナズハさんが演じてみたいという男の子の役が、眼鏡堂書店が絶対にやりたくない役だというのも面白かったです。

また、しぶやんさんからはこの作品自体の、ポストモダン的な部分、あえて本質をもたない(ゴドーがやってこない)構造や、相対化についての指摘があり、まったく思いもしなかったことなので大変興味深かったです。あわせて、ゴドーが53年初上演という点からの戦後支配体制についての切り口もこれまた興味深かったです。旧態的な支配関係をポッツォとラッキーに、これからの関係性をヴラジーミルとエストラゴンに見て取れるのは確かにおもしろい切り口。特に1幕目と2幕目のポッツォとラッキーの関係性の変化はある種の時代性と考えるのも面白い。

元のタイトルが『待つ』であることの、待ち続けるだけというシンプルな芝居の方向が、シンプルであるがゆえに背景を持たず、だからこそ背景情報が必要とされる小説では作りえず、だからこそこの作品が戯曲であらねばならなかったのかと思うと、今回の課題図書に本作を選んでよかったなあ、と思いました。なによりもまず、名前は聞いたことがあるけど読んだことのない有名作品を実際に読んでみて、あれこれ話してみることはひとりで読んだだけでは得られないものが多々あって、それが課題図書形式の読書会の面白さだと改めて実感しました。

ご参加いただきました皆様、大変ありがとうございました。

 

さて、次回は12月24日に山形市で開催されます一箱古本市への出店のため、読書会はお休みです。来年は多分1月から開催できればと思っています。課題図書や日時等はしばらくお待ちください。

以上、眼鏡堂書店でした。

【開催のお知らせ】ゴドーを待ちながら/サミュエル・ベケット

さて、眼鏡堂書店です。

今年も残すところわずかとなってしまいました。

というわけで、眼鏡堂書店の今年度最後の読書会のご案内です。

 

課題図書は眼鏡堂書店では初となる戯曲、サミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』です。

あらすじは、

「『ゴドー』に接して、人はむしょうにおしゃべりになりたがっている自分を見出す。[…]無数の解釈が生まれ、すれちがい、ゆらめき、消尽されてゆく、その過程がまさにこの作品を観たり読んだりする経験の実体にちがいないのだ。[…]「ゴドーを待つ」という、あるようなないような枠組(大いなる物語)は、過去と未来のあいだに宙吊りにされたこの現在あるいは現代の瞬間を生き生きとさせるための仕掛けにすぎないのかもしれない。」(本書「解題」より)

田舎道。一本の木。夕暮れ。エストラゴンとヴラジーミルという二人組のホームレスが、救済者・ゴドーを待ちながら、ひまつぶしに興じている──。不条理演劇の代名詞にして最高傑作、待望のペーパーバック化!(Amazonより引用)

 

日本最大の読書会である猫町俱楽部で課題図書となった際は、主催者&参加者全員が「これはなんだ?」「わからない」と首をかしげたことが知られています。また、今年のノーベル文学賞受賞者のヨン・フォッセが劇作家であることもあり、小説だけではなく、もっと広く文学作品を読んでみようと思い、課題図書にしてみました。

 

それでは、読書会の日時や場所等についてです。

 

【日 時】 

11月19日(日)14:00~16:00

※11月16日(木)の17:00を締め切りとします。

 

【場 所】 

山形県山形市七日町~本町周辺の喫茶店

※いつも少人数なので、飛び込みで入店しようと考えています。開催可能人数が集まったら、参加者の方には別途お知らせします。

 

【参加費】
1品以上の注文をお願いします。


【定 員】
4人(※主催者含めた2名を最少開催人数とし、満たなかった場合は中止とさせていただきます)


【お申し込み方法】

以下のどれかで申し込みください。

1)コメントで参加のメッセージを。

2)openworksnovel@gmail.comに参加のメールを。

3)TwitterのDMやメッセージで。


皆様のご参加をお待ちしております。
拡散希望です。バンバン広めてください。

【眼鏡堂書店の本棚】白い薔薇の淵まで/中山可穂

眼鏡堂書店の蔵書より、独断と偏見に塗れた”もっと読まれてもいい本”を紹介しつつ、全力でニッチな方向へとダッシュする【眼鏡堂書店の本棚】。

今回ご紹介するのは、個人的な事情で10月の読書会をお休みするに伴い、その時の課題図書としていた、中山可穂の『白い薔薇の淵まで』です。

白い薔薇の淵まで/中山可穂

眼鏡堂書店は恋愛小説というものをほとんど読まないのですが、そんなポンコツが手元に置いて時々紐解く数少ない恋愛小説がコチラ。

前に本棚で紹介した色川武大の『離婚』といい、最近入手したアニー・エルノーの『シンプルな情熱』、そして本作。眼鏡堂書店くらいの剛の者になってくると、独身未婚にもかかわらず、読むのは離婚と不倫と家庭崩壊の話ばっかりだぜ!

 

感想の前に、『白い薔薇の淵まで』のあらすじを少々。

あらすじは、

雨の降る深夜の書店で、平凡なOLの私は新人女性作家・山野辺塁と出会い、恋に落ちた。
初めて知る性の愉悦に溺れてゆく二人の女は激しく求めあい、傷つけあいながらも、
どうしても離れることができない修羅場を繰り返していくーー。
甘美で破滅的な恋と、めくるめく性愛の深淵を、研ぎ澄まされた美しい文体で綴った究極の恋愛小説。
女性同士の生々しいリアルな恋愛をとびきりの切なさで描くことに定評のある著者の代表作である本作品は、発表から20年という時を経ても色褪せることなく、瑞々しいエロスを放ち続けている。
一文も読み飛ばせない完璧な恋愛小説の金字塔!
復刊にあたって書き下ろされた河出文庫版あとがきも特別収録。

(※Amazonより引用)

 

本作は、あらすじの中にもある女性同士の恋愛を描いた作品。いまでこそ、LGBTやらジェンダーなどが盛り込まれる作品も珍しくない中、20年経った今でもなお、非常に鮮烈な印象を受けます。

昨今のLGBTジェンダー的な作品に手が伸びないのは、個人的にそういった思想的なものよりも、作品が優れていること、の方に眼鏡堂が絶対的な重きを置いているからでしょう。実際、山本周五郎賞受賞が納得できるくらいに作品としての質は非常に高いです。併せて、あらすじで書かれているようなエロティシズムも、卑俗さや下品さとは無縁で、情熱的でありながらも透き通るような美しい文章でつづられます。

ただ、それでも万人にお勧めできるかというと、ねえ……。

 

作品は、主人公の”私(とく子、クーチ)”と、私と恋人関係になる作家・山野辺塁、そして私と学生時代からの恋人でのちに結婚することになる喜八郎との三角関係?(※塁と喜八郎との間にはたしか接触はなかったハズ)でストーリーが展開していきます。

結論から言うと、その三人の誰一人として幸せになりません。

この塁がクセモノで、誰かを依存させる何らかの要因を持っていて、なおかつそれを自覚しているような女性。横暴でわがままでありながら、ここぞというところで優しさを見せてくるところなどDV男にしか見えてこない。作家としてはスランプの最中でありながら、デビュー作がうるさ型の評論家の激賞を得るなど、才能も(多分)十分。

一方のクーチはどこにでもいるようなごくごく平凡な女性。多分、塁と出会わなければ喜八郎と平均的でそれなりに幸せな家庭を作るだけの平凡な人生で終わったかもしれません。

それが塁との出会いで一変。喜八郎と結ばれるも、彼女の心の先には塁が。

正直、このくらいまで読みすすめるともう閉塞感が半端なく、もはや恋愛小説という甘さは皆無で、ただただ苦しいという感じ。

とにかくクーチの姿勢が、眼鏡堂書店が男なせいか、終盤になればなるほどイライラしてきてもはや怒りさえ覚えます。精神的に追い詰められた喜八郎は生徒への暴力行為が問題となり、教職を辞する(?)結果に。そして離婚となるわけですが、それでもクーチに対して謝罪とともに慰謝料を支払う場面に、なんとなく男の意地のようなものを感じました。

総じて誰一人として幸せにならない恋愛小説ではあるのですが、そのむき出しの部分や作者の筆致の繊細さや大胆さに、改めて心惹かれた次第でした。

とはいえ、ジャン・ジュネの再来として評された若手作家の最終作が家族と野球の小説、っていうのは当人的には大満足なんだろうけど、これを読まされる読者はただただ困惑するだけのような気がしました。ジャン・ジュネと野球と家族はだいぶ遠いぞ。

 

10年位前の女性同士の恋愛小説ということで、今日のジェンダーLGBT論のようなものが一切内包されない、純粋な意味での小説であることは、再読してみて新鮮なものとして感じました。要するに、「愛した相手が女性だった」という以上でも以下でもなく。

眼鏡堂書店の記憶が確かならば、ジェンダーLGBTが社会活動として高まっていく中でこの小説も(作者の意図とは違った意味で)盛んに取り上げられ、そこで生まれた祖語によって作者自身が、社会活動への決別を宣言するに至ったと思います。

もともと寡作ではあったとはいえ、この決別宣言以降さらにそこに拍車がかかった気もしますが、その一方でより秀でた作品を編まれるようになったような印象を覚えます。もっとも、以降の作品をあれこれ言えるほど読んでいるのかと問われると、ごめんなさい、としか言えませんが。

 

本来なら、10月は本作を課題図書とした読書会の予定でしたが、主催者多忙につき流れてしまったので、ここで眼鏡堂書店の感想などをつらつらと書いてみたところです。

 

最後に、内容の感想やリクエスト、記事を見て本を読みました、読み返しましたなどありましたらコメント欄に書き込んでいただけるとありがたいです。あと、もし気に入っていただけたなら、読者になっていただいたり、ツイッターのフォローや、#眼鏡堂書店をつけて記事を拡散してもらえると喜びます。以上、眼鏡堂書店でした。

【参加しました】山形読書会@洗心庵

10/14(土)に、山形市にある洗心庵にて開催された読書会に参加してきました。

主催は、いつもお世話になっている、山形読書会~Yamagata reading club~さん。

えー、当日若干遅刻いたしまして大変申し訳なく思っております。

 

洗心庵は、山形市に寄贈された山形新聞社社長・服部敬雄氏の別邸。見事な庭園が有名で、町中にありながらも喧騒を忘れさせてくれる静かな空間です。急に季節が秋めいてきたこともあり、大変良い空間でした。

なお、写真はありません。

山形読書会さんがこのあたりは何とかしてくれるものと信じております。

 

さて。

読書会にて紹介された本たちがコチラ。

山形読書会@洗心庵

会の冒頭のアイスブレイクにて、「最近あった嬉しかったこと」。眼鏡堂書店は9月に発売された京極夏彦の『鵼の碑』を単行本でゲットしたことを話しました。無論、現物とともに。800ページ&重量1.2キロは圧巻です。辞書をも凌駕する圧倒的な存在感、ご参加の皆様にお楽しみいただけたのなら幸いです。

 

今回眼鏡堂書店が紹介したのは、コチラ。

野球の大谷選手を引き合いに、「世界の第一線で活躍している日本人」ということで、ヘヴィメタルバンド・ラウドネスのギタリスト高崎晃の本を紹介しました。

B’zのメンバーをはじめ、スピッツ斉藤和義にも影響を与え、それは海外のバンドにも及びます。MR.BIGのポール・ギルバートを筆頭に、ArchEnemyのマイケル・アモット、メタリカ高崎晃を加入させようという動きがあったそうです。

ヘヴィメタルという音楽性の都合上、これだけ活躍していてもなかなかテレビ等ではお目にかかれないので、興味を持ってもらえたらと思って紹介したところです。併せて、高崎晃といえばトレードマークのランダムスターやキラーギター。一般的なギターのイメージと異なる奇抜な変形ギターは、皆さんの興味を引いた気が。ちなみに、眼鏡堂書店は弾いたことはありませんが、Vグリップネックやディープジョイント構造、奇抜でありながら非常にすぐれたボディバランスなど、見た目と違ってめっちゃ弾きやすいそうです。

 

なかなか忙しく、読書会への参加は久々な気が。

なのでほかの参加者の方々が紹介する本にも大きく興味を惹かれました。

いろいろな本をいろいろな切り口から紹介され様々な発見が得られるのは、自由紹介型読書会の魅力だと改めて感じたところです。

山形読書会~Yamagata reading club~と今回の読書会でご一緒させていただきました皆様、大変ありがとうございました。

 

で。

 

11月の眼鏡堂書店の読書会のお知らせです。

11/19(日)14:00~16:00 

場所は七日町周辺の喫茶店を予定。

(会場に関しては決まり次第ご連絡致します)

課題図書は眼鏡堂書店では初となる戯曲。サミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』です。

かつて日本最大の読書会である『猫町読書会』でも課題図書としてとりあげられ、主催者&参加者全員が「なんだこれは?」と困惑したことで知られます。

現代演劇ではもっとも有名で、名前くらいは聞いたことがある人もいるかと思いますが、実際読んだ&観劇した人は……。というわけで、眼鏡堂書店もあまりよくわかっていない現代演劇の世界を読んでいこうと思います。

10月の最終週か11月のあたまにはイベントページを立ち上げますので、少々お待ちください。

 

以上、眼鏡堂書店でした。

【お知らせ】10月以降の読書会の予定について

ご無沙汰しておりました。眼鏡堂書店です。

先ごろのノーベル文学賞予想レースで、カナダのアン・カーソンと受賞予想をし、見事に散ったところです。ちなみに、受賞したのはノルウェーのヨン・フォッセ。

 

さて。

 

10月は主催者多忙につき、読書会はお休みしております。

ですので、11月と12月の予定についてお知らせします。

 

【11月】

日時 11/19(日)14:00~16:00

場所 山形市七日町周辺の喫茶店

(※いつも少人数の開催のため、飛び込みで喫茶店を利用しようと考えています。決まり次第、参加の方々に連絡します)

課題図書 ゴドーを待ちながら/サミュエル・ベケット

※今年のノーベル文学賞受賞のヨン・フォッセは劇作家出身。なので、小説ばかりを課題図書にしてきましたが、様々な文学形態に触れてみようという気持ちになり、ベケットの代表作を課題図書にしてみました。

詳細につきましては、10月の最終週か11月に入ったところでイベントページをアップしますので、そちらをご覧ください。

 

【12月】

12月は読書会をお休みし、12/24(日)に一箱古本市@山形に出店します。

前回の出店同様、眼鏡堂書店チョイスによる”もっと読まれてもよい本”を取りそろえる予定でいます。こちらもまた、日程が近づきましたらイベントページにて告知いたします。

 

以上が、今後の予定となります。

年内に開催する読書会は11月だけか……。まあ、こればっかりは仕方ない。

というわけで、以上、眼鏡堂書店でした。おわり。

【開催しました】眼鏡堂書店の読書会『マーダーボット・ダイアリー』マーサ・ウェルズ

9/23(日)に、さくらんぼ東根駅前のコーヒー屋おおもりにて、マーサ・ウェルズの『マーダーボット・ダイアリー』を課題図書にした読書会を開催しました。

当日は主催者含め3名の参加者での読書会となりました。ご参加いただきました皆様、大変ありがとうございます。

 

人間苦手、ドラマ大好きの警備ロボット”弊機”が主人公という、一風変わった人気SFシリーズ。とにかく面白いこの作品で、キャッキャウフフの弊機祭りにしたかったのですが……。

 

バン!と出されるiPad!おっと、若き芸術家がスラスラと描き出したぞ。おーっと!あれは弊機だァァァ‼

若き芸術家の肖像

バン!と出される中原尚哉翻訳の巨大ロボットSF小説たち!「絶対に好きでしょ」という圧の強い推し!拒否ったら「あの人、男子の魂がないみたいよ」という、えぐるような娘からの連携攻撃が!

創元社の回し者かってくらいに大量のロボSFが。

 

 

助けてください。

眼鏡堂書店は普通の読書会がしたいのです。

 

 

それはさておき。

 

 

参加者母娘がSF剛の者だったので、こっちが知らない情報がバシバシ出てきました。

作者マーサ・ウェルズのTwitterなんて知らんがな。

というわけで、作者が執筆中に聞いていたプレイリストとのこと。

マーサ・ウェルズが執筆中に聞いていたプレイリスト

なるほどなるほど、coldplayか。

眼鏡堂書店はcoldplayを聞いたことがありませんが、知識として知っているcoldplayのイメージ図を貼っておきます。わかる人にはわかるはずです。

90年代が生んだLINE6の名機 DL4

 

さっぱり読書会の話をしていないので、話を戻します。

本作の特徴はなんといっても、弊機のキャラクター。人間苦手なのになぜだか人間よりも人間臭いという他にない個性。

例えば、カズオ・イシグロの『クララとお日様』やイアン・マキューアンの『恋するアダム』と比べても、前者2作がロボット(AI)でありながら人間を目指そうとするのに対して、弊機はあくまでもロボットとしてのアイデンティティがある。人間は人間で、ロボットはロボット、という考え方はもしかしたら今風の感覚なのかも。

さらに言えば、これだけの万能感がありながら、人間と取って代わろうという意識が皆無。一昔前のSF作品のAIといえば、暴走した挙句人類を滅ぼそうとするのがデフォルトでしたが、弊機は人類を滅ぼしたりしません。なぜなら「人間を滅ぼしたら誰がメディア(※ドラマのこと)を作るのですか?」

あと、人間の目には触れない領域で、AI同士の独自の世界が構築されていて、そこには(少なくとも弊機にとっての)ヒエラルキーが存在するところも面白く読んだとところです。

弊機を含めた登場する各AI(ロボット)のイメージも3人それぞれ異なっていて、共感するところもあれば、う~ん、となるところもあって面白かったです。

眼鏡堂書店の、ARTの腐女子感や、ミキ=チコちゃん、弊機に最も近いのはドラえもん、という一連のイメージはSF母娘に困惑をもたらしたようです。なお、弊機=ドラえもん(声の出演:大泉洋)です。ますます母娘を困惑させました。

SF母娘からの指摘で、登場人物の性別が結構女性に偏っていて、弊機自体も原文では一人称がShe。もっとも、それをユニセックス&無機的な一人称としての”弊機”落ち仕込んだのは翻訳者の力量だと思いました。さらに、カップルが同性同士だったり、アンコンシャスバイアスにおける男女の役割を意図的に逆転させてあったりと、前段の性別の偏りの部分も含めて、これらは眼鏡堂書店が全く意識していなかった部分なので、新鮮な驚きがありました。

その一方で、今回の読書会で言ったのですが、そういった現在進行形で論議されている問題を、娯楽エンタメ作品に盛り込まなければならない現状に息苦しさみたいなものを個人的には若干の否定的要素として感じたところ。

面白かったけれど、なぜか両手を挙げて大喜びすることがなぜかできなかった、というのはもしかしたらその辺の理由なのかもしれません。まあ、個人的な部分ではあるのですが。かといって、面白くなかったわけではありません。念のため。

なお、本作シリーズは本編上下巻と、『ネットワーク・エフェクト』、『逃亡テレメトリー』のほかに、さらに3冊刊行予定とのことで、更なる弊機の活躍とボヤきが楽しみです。

 

ご参加いただきました皆様、そして会場をお貸しいただきましたおおもりのマスター&ママさん&はるなちゃん。大変ありがとうございました。

 

さて、次回以降の読書会のご案内なのですが、この読書会の時は10月開催とアナウンスしたのですが、改めて自分のスケジュールを確認したところかなり厳しいことが判明。

既にTwitterFacebookではお知らせしていますが、主催者多忙につき。10月は読書会をお休みします。

併せて、以前からアナウンスしていた11月の課題図書・大江健三郎万延元年のフットボール』(※読書会終了時に、同じく大江健三郎の『飼育』に変更とアナウンスしています)ですが、10月がお休みということでもう一度課題図書を決め直したくなり、一度白紙とします。すでに読み始められていた方がいらっしゃいましたらスミマセン。

11月は11/19(日)の予定ですが、10月に入りましたら正式な開催日と詳細についてお知らせしますのでしばしお待ちください。

 

以上、眼鏡堂書店でした。

 

【追記】

若き芸術家よりいただきました、弊機です。

上手い!

イラストを頂きました!ありがとうございます!