5/26(日)に、山形市の遊学館にて行われた山形読書会に参加してきました。
6月の眼鏡堂書店の読書会を山形市内で開催したいということもあり、事前に偉大なる主催者閣下へ「早く行きますんで、会場設営手伝います」などと調子よく言っておきながら、ギリギリで会場入りした不忠者の眼鏡堂書店です。
人生万事、塞翁が馬。
ヘイヘイ、ドンマイドンマイ。
なお、紹介するつもりだった本を1冊見事に忘れるという天罰を食らいました。
眼鏡堂書店の読書会では、1冊の課題図書をみんなで読み感想などを話し合う、という課題図書形式。
山形読書会は自分の好きな本やオススメの本を自由に紹介する自由紹介型の読書会です。
どちらも一長一短あるのですが、「読書会に興味があるけど、敷居が高そう」と考えている方には、山形読書会のような自由紹介型の読書会をお勧めします。
また、こちらの読書会は常に初参加の方がいらっしゃることもあり、非常にオープンな雰囲気。こういったところも息長く活動できる秘訣かもしれません。近々開催100回を迎えるとのこと。いつも勉強させていただいております。
今回は満席の16名ということでいくつかのテーブルに分かれての読書会となりました。そんなわけで、眼鏡堂書店が参加したテーブルでの読書会メモ、頭のおかしい眼鏡おじがしたためた名状しがたき混沌のメモがコチラ。「あれは何だ、窓に窓に!」
そのなかで、印象に残ったものをいくつか。
まずは、ミシェル・ウエルベックの小説『素粒子』。初めて聞く小説でしたが、紹介された女性が大変この作品を気に入っている様子が感じられました。それと同じく印象的だったのが、読書メモ。きれいにまとめられていて、どっかの限界集落の田舎者の殴り書きとは雲泥の差。頭の良さというのはこういうところの端々に現れるのだと思いました。泣きそうです。
次に『生き残る判断、生き残れない行動』『最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか?』。眼鏡堂書店も消防団員の端くれ。災害時の行動等については普通の人より多少は明るいかとおもうのですが、それでも思うところは色々と。その際も話したのですが、例えば火災報知機のブザーが鳴っても、すぐに人は避難しようとはせず「ちょっと様子を見ましょうか?」みたいに良きにつけ悪しきにつけ落ち着こうとするもの。「大丈夫だろう」という前向きさが命取りになることもありえます。とはいえ、いきなり行動を起こせばよいというものでもなくて……。消防団の研修で、初めて入ったお店や施設では必ず最初に避難経路を見て確認すること、というのを眼鏡堂書店は馬鹿正直にやっています。それだけでも、不測の事態が起きたときは何かの役に立つはず。
そして『色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年』。でました村上春樹!眼鏡堂書店の鬼門です。正直、苦手な作家。嫌いというのとは違って、どうにも合わない。それはたぶん彼の初期作品の文章の淡さがどうにもダメ。ただ、本作はだいぶ後年の作品らしく(このへんを全く知らないあたりも、苦手っぷりが露わ)、人に説明されるとそれなりに興味が向くのも、ある意味読書会の力。自分の知らない分野を、初めて会った人がアップデートしてくれるのは、毎回楽しいところでもあります。村上春樹は苦手、といいつつ『パン屋再襲撃』は結構面白かったし、『アフターダーク』は読もうと思って積んであります。
んでもって、眼鏡堂書店が紹介したのはコチラ。
『ギターマガジン5月号真空管の小宇宙』
今やオーディオファンとギタリスト以外全く見向きもされない真空管。
その底なしの沼について話してきました。EL34、6L6というプリ管の違いで生じる音色。エレハモと聞くだけでご飯が2杯は食べれます。それら真空管を搭載したギターアンプは2種類に分かれます。ミッドローにピークのあるクリアな音色のフェンダーアンプ(アメリカ)、ハイミッドにピークのある荒々しいドライブサウンドが特徴のマーシャル(イギリス)。そんなアンプの心臓部ともいえる真空管。ロシアのウクライナ侵攻で一度禁輸措置が取られるも、今は解禁。とはいえ絶対数が少なく、これからも増えることのないこのロストテクノロジーに、おじさんたちは魅了されるのです。真空管にともる明かり、基盤に設置されたダイオードや抵抗……。それらの隙間からおじさんたちはノスタルジックなメトロポリスを見ているのです。いわば真空管サウンドは懐かしい街の音なのです。……などということを話したかと思うのですが、1回目は自分以外は全員が女性だけだったため、次々に女性陣の目が死んでいくのがとても楽しかったです。なお、2回目はオーディオエンジニアの方がいたので爆上げの盛り上がりを見せ、真空管に興味ナッシングな女性の皆様をドン引きさせました。やったぜ。
今回も楽しい時間を過ごすことができました。皆様大変ありがとうございました。
さて、眼鏡堂書店では6/16に(日)に山形市のPlayground Cafe BOXさんにて、澁澤龍彦の『高丘親王航海記』を課題図書とした読書会を予定しております。
最大6名のところ、6/1現在3名の参加となっております。締め切りまでまだ余裕がありますので、参加希望の方は詳細のリンクを貼っておきますので、そちらをお読みのうえお申し込みください。以上、眼鏡堂書店でした。