眼鏡堂書店の蔵書より、独断と偏見に塗れた”もっと読まれてもいい本”を紹介しつつ、全力でニッチな方向へとダッシュする【眼鏡堂書店の本棚】。
あらすじは、
二度と再び、まいの世界が元に戻ることはなかった。
学校に足が向かなくなった少女が、大好きな祖母から受けた魔女の手ほどき。何事も自分で決めるのが、魔女修行の肝心かなめで……。
中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。(Amazonより転載)
20年位前に読んで、そのときもなにか煮え切らないものを感じたけれど、こうしてさらに時を経て読んでみると、まあモヤっとする。
結論から言えば、この作品にとって眼鏡堂書店は”良い読者”ではないのだろう。そんな確信を再読を経て抱いたところでした。
かといって、ダメな作品とは言いたくなくて、むしろ大変に良い作品であり、今更言うまでもないことではありますが、もっともっと読まれてもよい作品であろう、と。
ただ、それを承知のうえで、良くない読者のひとりとして、言いたいことはいくらもあるよ、と。
あらすじをみると、学校に行けなくなった少女が、祖母からの魔女の手ほどきを通して壁を乗り越え、社会へと足を踏み出していく物語。その困難を乗り越えていくなかでカギとなるのが、何事も自分で決める、ということ。
大枠において何も間違ってはいないけれど読後に思うのは、「言うほど、眼前の困難に対して自分の意志で足を踏み出したのか?」
学校に足が向かなくなった、という問題に関しては結論として「引っ越し」という外部要素でもって解決。そのほかのこまごまとしたことに関しても、いうほど自分で決めてたかな?と。
何度も言うようですが、本作に対して眼鏡堂書店は良い読者ではないので、「なんとなくふんわりとした感じで問題が解決し、物語的に用済みになったから婆が死ぬ。悲しい、でもワタシ、がんばる」という感じに総括してしまい(するな)、つまるところ「で?」と鼻白むのでした。
でも、全体として素晴らしいとは思います。
おばあちゃんの丁寧な暮らし(笑)とか。
かつてケータイ小説『Deep love』において登場する婆ちゃんの生活にリアリティがない、という批判があった気がします。
それを言うなら、本作もなかなかにリアリティが欠落していて、そもそもこの婆ちゃんは何で生計を立ててるのだろう?年金&旦那の遺産だけで暮らしているのか?とか、「丁寧な暮らしでは日々の食材は自給自足で賄えるのです」という暗にほのめかされる内容も、「じゃあ、この婆さん。肉食いたくなったら飼ってる鶏シメるんだな?」と言いたくなったり、現在進行形で田舎の限界集落に暮らす身としては、言いたいことが山ほど出てきます。
あと、結局この魔女要素は何だったのだろう?というちょっとした疑問も。
言うほど魔女か?と思ったりもするのですが、それは眼鏡堂書店が良くない読者だから感ずることであって、良い読者の皆様はそんなことは考えないのでしょう。
言っておきますが、馬鹿にしているわけではありません。
作品というのは一つの結晶であり、読者という光線がどの角度から差し込むかによって見え方も変わってくるはず。だとすれば、眼鏡堂書店は作者が当初的に想定した角度からではないところから光線を差し込んだのでしょう。
いまいち、「ちょっとねえ……」というのはそれが原因、のはず。
あと、多感な思春期少女にとって四十路の独身男性は、ありとあらゆる意味で敵対的存在として認知されるので、気を付けようと思いました。個人的に、作中の登場人物で最もかわいそうだと思いました。
そんなこんなで、ここまで文句しか書き連ねていませんが、かといって本作『西の魔女が死んだ』が嫌いなわけではありません。本当に嫌いなら、何十年もたってもう一度読もうとは思わないからです。
はっきり言って、大変に良い作品であり、とても好感の持てる作品です。
ただ、眼鏡堂書店がその対象ではない、というだけで。
好意的に受け止められるか、といえば否ですが、さりとて一方的&頭ごなしに否定しようとは全く思いません。
要は「合わない」ということなのですが、たぶん、また再読するでしょう。
そしてまた同じように「やっぱ合わねえな」と感じ「でも、いい作品だな」でシメるに違いありません。仮に中学生ぐらいで読んだら、個人的にもっと拒否反応が出たに違いないでしょう。そういう意味では、この作品は自分にとって年齢を重ねてから読む本、そういう一冊なのではないか?と。
でもねえ、合わない合わない、と言いつつ、結局読むんだよなあ……。
特に好きでもないんだけど。
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