1/16に、さくらんぼ東根駅前のコーヒー屋おおもりにて読書会を開催しました。
開催までの数日間は大雪その他で「大丈夫だろうか?」と心配でしたが、当日は雪もなく穏やかな天気のもとで開催することができ、何と遠く鶴岡からお越しいただきました。本当にありがとうございます。
手塚作品としては『ブラックジャック』や『陽だまりの樹』を含めた”医療マンガ三部作”の一作。
奇病「モンモウ病」の原因究明のため、小山内桐人(おさない・きりひと)は犬神沢へとわけ入った。そこで彼が見たものとは? そして、彼を巻き込んだ陰謀とは!? とうとうモンモウ病に蝕まれ、容貌の変わった桐人は、異国を放浪し続ける……。一方、日本では竜ヶ浦(りゅうがうら)教授の野望が着々と進行していた! モンモウ病は、はたして伝染病なのか? 現代社会の病巣をするどくえぐる、衝撃のヒューマン・ドラマ!
お越しいただいた方が手塚ファンということもあり、手塚作品がどちらかというと得意ではない主催者としては聞き役に回るのでした。
自分で課題図書を設定しておきながら、主な女性キャラクターが総じてひどい目に合うというストーリーにすっかりやられてしまったわけですが、手塚ファン曰く「黒手塚ではごく普通のこと」と一蹴(笑)
それはともかく。
モンモウ病を巡るストーリーはまさにキリストの受難劇そのもの。キャラクターには七つの大罪がそれとなく割り振られているなど、聖書的な観念が盛り込まれ、それが全体の重厚なストーリーを盛り上げていきます。
それだけでも十分なのに、そこに『白い巨塔』を彷彿とさせる医学界の派閥争いも加わり、とんでもなく入り組んだ、そして重たいストーリー。もう、読みごたえは十二分。
初版が昭和61年ということもあり、間違いなく古い作品ではあるのですが、テーマの普遍性(生きるとは何か? 医学は(医者は)どうあるべきか?)が全く古びないため、今でも十分新鮮に映ります。
作品的には、手塚先生が劇画ブームの中で苦悩し葛藤していた不調期の一作ということで、その端々に劇画への対抗心が垣間見え、「漫画の神様も大変だったんだなあ」という苦労がしのばれます。あと、どうでもいいことなのですが、モンモウ病を発症したシスター・ヘレンのモフモフぶりがたまりません。
『ブラックジャック』に比べると、まだまだ知名度が劣る作品ではありますが、ぜひとも皆さんに読んでほしいと思ったところです。
なお、今回の参加者の方から「黒手塚のこの2作は絶対読むべき!」とおすすめを頂きました。それが『MW(ムウ)』と『アドルフに告ぐ』です。折を見て読んでみようと思います。ありがとうございます。<(_ _)>
あと、おおもりの「ワッフルセット」を味わいながらの読書会でした。
ご参加いただきました皆様、そしてコーヒー屋おおもりのマスター&ママさん、大変ありがとうございました。